金木犀の香りが鼻をくすぐり、僕は夏の終わりを知らされる。
今年の夏は観測史上最高の気温と、半袖シャツの形にくっきりとした日焼けの痕を残した。
一週間ほどで秋雨が降り、オレンジ色の小さな花たちは落ちてしまった。
僕は国道を西へ走らせる。ワイパーがメトロノームのように時間を刻む。
どうやら台風が来るらしい。彼には夏も秋も関係ない。
秋雨と台風のはざまに、晴れ間がのぞく一日があった。
空は高く、陽射しはチリチリと皮膚を刺激する。
僕がそうであるように、夏もまた去るのが名残惜しいようだ。