君はなるべくライトに話そうとしてくれたけど、ヘヴィーな内容だったね。
僕の経験値では上書きできないことを思い知って、手を繋ぐなんてとてもじゃなかった。そっと手を握るだけ、堰をきったようにこぼれた涙を拭ってあげることもできなかった。
朝が来ても、僕の周りの空気は薄く、息継ぎがうまくできない下手な泳ぎ方をしてるみたいにもどかしい。嫉妬、諦観、焦燥、求愛、自己否定と肯定、いろいろ混ざって淀んでいる。
昨夜僕がかけた言葉は君を掬い上げられたのだろうか。僕も水の中にいるようなものだけど。もっと君を肯定できた言葉はなかったか、もっと寄り添った言葉はなかったか、何度も逡巡するけどタイムマシーンはない。
そもそもタイムマシーンの使いどころが間違っているんだ。僕のモヤモヤした思考なんかより、君が救われる時間に戻らなければ。