家に帰ると、ヘリウムが含まれたガスで膨らんだ、風船が天井に浮いている。 アイツはリビングの明かりが消えてもあぁして天井に貼りつき、 いずれ床に落ちたら見向きもされなくなる。 自分の意思とは関係なく、いずれは燃えるゴミの中。 蝉の一生より儚い。 …

ようやく春めいてきたと思ったら、意識は既に夏を描いている。 幾つまで生きられるかわかんないけど、 あと三十回〜四十回しか夏は来ないんだぜ。 車飛ばして西へ向かって、蕎麦を食べながら日本酒チビっと飲って、運転交代してもらってさらに西へ向かって、…

「あー、寒い寒い〜〜」 『寒い寒いうるさいよ』 「寒いから寒いって言ってんだよ、悪いか。」 『"寒い"と思うから寒いんだよ。寒くない！』 「いや、"寒い"と皮膚が感じたから"寒い"と脳で判断して寒いって言うんだろ。寒いと思うから寒いんじゃなくて、実…

痛みに対して強くなる。 この場合の「強くなる」ってのには2種類あって、 「耐える」と「慣れる」に分かれる。 ただし、厳密に言えば「慣れる」は強くなったうちには入らない。 ただ、何も感じなくなっただけ。 「耐える」は内側か外側かのどっちかが強くな…

日付が替わった。 昨日思ったことを、 昨日偲んだことを、 昨日誓ったことを、 今日も明日もそうしてくれ。 昨日も一昨日も、今日も明日も、引き目で見たら一緒じゃないか。 大変だったのは12日の朝がきたとき からで、 昨日も今日も明日も明後日も、生きる…

一見、風にゆらめきザワザワと揺られているように見えるかもしれない。パッと見、グラグラと幹ごと揺れ動いているように見えるかもしれない。 上に成長を重ねたら重ねた分だけ、揺れ幅も大きく見えるだろう。でも確かに、動かぬようにしっかりと根っこが生え…

「さ、これからもう一軒いかがですか!?」「もうお店お決まりですか!?」「いい店ご案内しますよ!?」などなど、夜の繁華街を歩けば様々な声がけ（いわゆる"キャッチ"）にあう。仙台市国分町は条例で「客引き」が禁止されているため最近はほとんどないが、 先日…

「卒論のテーマ、決まったか？」 『ああ、とっくに決めてあるぜ』 「教えろよ」 『風呂に入ってるときに屁をこくと、泡が出るよな？』 「あたりまえだろ」 『その泡を、水中で破壊する。すると、細かい泡になって水面から消える。』 「で？」 『そうすると、…