HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

歩き出しは右足から

横断歩道の信号待ち。行き交う車たちの速度が弛み、停まり、こちらの対面の信号機が青に変わる。左右の手のどちらに荷物を持っているかは全く関係なく、僕は右足を前へ振り出した。

これまで何の意識もなくしてきた行動の一つに、ある日突然気づき、以後妙に気になる現象はよくある。ためしにわざと左足から歩き出したことがあるけど、しっくりこなかった。

利き足に関係しているのか、さらにそこから身体の左右のバランスに影響がでているのか。

ちなみに、風呂上がりにパンツやズボンを履くときは左足からだ。これもまた逆からやってみたことがあるが、転びそうになった。

類似の行動に靴下を履く、というものがあるが、不思議なことにこれは左右のどちらからでも違和感はない。おそらくこれは「自分の健康状態を推し量るうえで、たったまま靴下を履くことができるか否か」を前提にしているので、意識がそこに集中し、左右のバランスはさほど気にならなくなっているのではないかと予測する。

 

ところで話は少しそれて、靴下について。

昔からあるハイソックスくらいの丈じゃないと僕は嫌なのだ。いつのころからか全く忘れているが、スニーカーソックスが流行りだし、いまや主流になった。夏場にハーフパンツ、足元はスニーカーソックスが定番になってからは、靴下の形態を変えたくないので長ズボンを履いている。

どうしても、くるぶしを覆っていないと、隙間風的な空気の動きを感じてしまって嫌なのだ。

もしかすると遠い祖先にギリシャ神話のアキレスが関わっているのかもしれない。

サタデーナイト・リーパー

君はなるべくライトに話そうとしてくれたけど、ヘヴィーな内容だったね。

僕の経験値では上書きできないことを思い知って、手を繋ぐなんてとてもじゃなかった。そっと手を握るだけ、堰をきったようにこぼれた涙を拭ってあげることもできなかった。

朝が来ても、僕の周りの空気は薄く、息継ぎがうまくできない下手な泳ぎ方をしてるみたいにもどかしい。嫉妬、諦観、焦燥、求愛、自己否定と肯定、いろいろ混ざって淀んでいる。

 

昨夜僕がかけた言葉は君を掬い上げられたのだろうか。僕も水の中にいるようなものだけど。もっと君を肯定できた言葉はなかったか、もっと寄り添った言葉はなかったか、何度も逡巡するけどタイムマシーンはない。

そもそもタイムマシーンの使いどころが間違っているんだ。僕のモヤモヤした思考なんかより、君が救われる時間に戻らなければ。

レイン、レイン、レイン

あなたと出会ったあの日の空には、春の雨が降っていた。

あなたに抱かれた夜に聞いたのは、夏の終わりの雨だった。

あなたと離れ離れになった日は、みぞれ混じりの雨でした。

雨は全てを洗い流してくれるなんて言うけれど、私にとっては全くそんなことなくて

傘をさして歩くあなたの背中を思い出す。

ホントは相合傘ってやつをしてみたかった、けれど言えずじまいな日も、涙混じりな雪の日も、もうすぐ降り出しそうな曇り空とか、なんなら雨あがりの晴れた空にかかる虹だって、今は全天候がわたしの敵

ササノハサラサラ

梅雨の中休みか、ここ数日は雨が降らないでいてくれている。私の記憶では、5月に高めの気温が続いても、6月後半の梅雨入りくらいになれば長袖が欲しくなるほど、この時期には気温の上昇は落ちつくはずだった。だけどここ何年かは、梅雨時でも30℃くらいになる日が当たり前で、不快指数のインフレがすごい。せめて青空でも見えてくれればなぁと思い、手で額にひさしを作って空を仰いだけど、薄いグレーが広がっているだけ。

東北地方太平洋沿岸部は全国に比べて気温はさほど上がらないけれど、それなりに湿度は高いのでこの時季は苦手だ。早くエアコンの効いた部屋に戻りたい、なんて思いながら定禅寺通りを歩いている。

だいぶ年季の入った仙台市役所の正面入口には七夕祭りの飾りつけがされている。8月6~8日までの三日間に向けて盛り上げたいのだろう。

そういえば昔、当時の恋人との他愛のない話のなかで今でも覚えている言葉がある。

「一年に一度の逢瀬なんだから、誰にも見られないようにカーテンくらい引くだろ」

織姫と彦星が一年に一度だけ逢うことを許された特別な日だからって、短冊に書かれた願いごとを叶えてあげようだなんて太っ腹だね、なんてことを私が言ったのだった。ただ、夜空を見上げても天の川もベガもアルタイルも見えない。「どうもこの日は曇りとか雨が多い気がする、梅雨だからかな?」と私が言った言葉に、彼はそう答えた。

なんでこんなことを思い出したんだろ、と首筋にハンカチを当てながら考えたら、世間一般的には今日が七夕なんだっけ、とやっとわかった。宮城に住んでいると一ヶ月ずれちゃう。

 

ゆめはまぼろし

悪夢にうなされて、心臓バクバクで目が覚める。

心が落ち着いたころにもう一度眠りたい、次は楽しい夢をお願い。

でも「夢なら覚めないで」なんて思っちゃうようなのはいらないの、

だって夢は夢でしょう?