天高く馬肥ゆる秋の空の青、
実るほど頭を垂れる稲穂の黄金と畦道の緑、
そしてマンジュシャゲの艶やかな赤。
気温がどうこうではなく否応にも秋が目に入る。
夏に火がつき盛り上がって始まった恋人たちにも、少し落ちつきが現れはじめる季節だ。
まもなくすれば、夕方には乾燥した空気がヒンヤリとしてきて、遠くから漂う田んぼの野焼きの煙と、キンモクセイの香りが混ざって鼻をくすぐるだろう。
その時、どうしようもないノスタルジックな感情が胸を締めつけて、キュッとなって、なぜか少し全てを諦めがちになりながらも優しい感情になれる。
そうした過去をそっと抱きしめながら、新しくも燃え残った篝火に薪を焚べる。
冬に向けて、燻ったままじゃいられないから。
焚べなきゃ火は消えちまうだろう?明日への自分のために、瞼を閉じる前に一本ずつ。