朝から灰色の空が街を覆い、冷たい雨が静かに降っている。
空の灰色は濁っているとも淀んでいるとも言えず、
どちらかといえば、まだ白に近い灰色だ。
静かに冷たい時間の流れの中で、
それでもひたすら時間が過ぎていくのをじっと待っている。
既視感を覚えて記憶を辿ると、
父方の祖父の遺体とともに斎場へきたときだったとわかる。
煙になって空へ昇っていくのを待つ間、
ちょうどこんな冷たく静かな時間が流れていた。
ただあの時と違うのは、
弔うために時間が流れているのではなく、
今は明日を、その先を生きるためにひたすら待っている。