梅雨時期のせいか、空はどんよりと重い灰色の空。
夜の空は黒、灰色のまま黒い闇へと時間が経つのはなんだか勿体ない。
バスの中にも、普段は乗って来ないような若いネーちゃんがチラホラ。
そして白いユルめのTシャツに目を惹かれる。
決して胸元だったり露出された肌に見とれているワケではない。
白いシャツ、それを着るには「予期せぬ汚れを回避する緊張感」や「汗や雨で透けるかもしれない下着の色への気遣い」など多くの難題を抱えているはずであり、それゆえの敬意を持った視線だということは言っておきたい。
とは言え、ずっと凝視していると変に思われるので文庫本に目を逸らす。
三半規管にちょっとダメージが来る手前で本を閉じる。
窓の外は依然として雨が降っていて、景色がつまらない。
心の中までは曇らないように気をつけたい。
人生にはすれ違いが付き物だ。