HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

アナザーストーリー

僕は食器棚からグラスを取り、氷を入れ、酒を注ぐ。


一口つけてダイニングテーブルにそれを置き、最近の出来事を思い返している。


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深夜にあった母国出場のスポーツ中継を見ていた。


選手が得点を入れる度に嬉しくなり、選手が相手の猛攻を防ぐ度に安堵する。


そして、トーナメント出場が決まり、翌日のマスコミは一様に明るいニュースだった。


素直に僕も喜んでいた。


新型インフルエンザの事も、


難病に立ち向かっている子供の事も、


時効を迎えそうな轢き逃げ事件の事も、


上がりそうな税金の事も、


禁漁になりそうなマグロの事も、


死んでしまった隣の家のペットの事も、


全部忘れてその時は喜んでいた。


世の中にグッドニュースが流れるのはもちろん歓迎だった。


ただ、さっき彼女から別れを告げるメールが届いた。


日本勝利の酔いが醒めていない僕には、まさに寝耳に水、の心境だった。


携帯を開いて未読メールを開いた瞬間、いろんなニュースを思い出して、僕は元の世界へ戻った。


〜〜
そして、仕事もなく、もちろん金もなく、心許せる友人もいないので、独り酒を飲んでいる。


いまだに、突然の別れの理由は分からず、かと言ってすがりつく程の付き合いでもなかったような気がしてきている。


なんにせよ、心が不安定なのは確かだ。


だから、今日はいつものウイスキーじゃなくて、ジンにしてみた。


アタマがパンクしそうなので、メールを見て以来、テレビはつけていない。


グッドニュースもバッドニュースも、流れているうちは「どこかのだれか」の出来事で、


実際自分に起こる些細な事柄で僕の精神は簡単に左右される。


それは、ニュースにはならない。


明日は、彼女の誕生日だった。