HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

総帥So Sweet

僕は目を覚まし、ベッドに呆けた顔で座っていた。

サイドテーブルにある電気ケトルで湯を沸かし、インスタントのコーヒーでも淹れようかと思ったが、ふとカップの横に緑茶のティーバックが立て掛けられていた。

日本人の朝は緑茶だろ、と一瞬考える。しかし、コーヒーと緑茶のカフェイン作用が二日酔いの胃にどんな化学反応を起こさせるだろうか。朝起きた瞬間から選択肢というのは多い。

結局、僕は白湯のままでカップを啜った。


さて、予定していた起床時間より少しばかり早い。モーニングコールが嫌いな僕は、自宅の寝室で眠るのと同じように携帯でアラームをセットしていた。まだ鳴る気配はない。嫌いとはいえ、ビジネスホテルのモーニングコールというのは良いサービスだとは思う。世の中に"モーニングコールサービスセンター"を立ち上げる企業家がいてもおかしくはない。ホテル以外でもサービスを受けられるようにすればいいのだ。ただし、苦情の電話も倍近くかかってくるだろう。

白湯を飲み干したあと、ユニットバスへ向かい、シャワーを浴びた。頭から熱めの湯を浴びながら、この部屋よりもっとゴージャスな部屋に泊まる人々の事を考えてみた。例えばスイートルーム。延々と住み続けるわけではなく、たかだか一、二泊するのにあんな広い空間が必要なのだろうか。こんな考え方だからダメなのかもしれない、なにせ最近まで"スイート"の綴りは"Sweet"だと思い込んでいたのだ。よくよく冷静に考えれば"Sweet Room"それはただのラブホテルだ。

固いタオルで身体を拭き、戻ってテレビをつける。戻るとは言ってもたかだか数歩の距離だが。朝のニュースでは外国のデモや内乱や紛争がいくつも報道されている。軍隊の将校がインタビューを受けている。ところで、"総帥"という肩書きがある人はどんな日々を送っているのだろう。

ひとまず僕はテレビを消し、街を砲撃しているかのような頭痛と胃からせりあがってくる内紛を制するべく再びベッドに腰を下ろした。