夜中に雨が降り、放射冷却が弱まったせいか、朝の外の空気は思いのほか冷たくなかった。
空気の透明度はやや低く、かと言ってドンヨリとしたものでもない。
薄手のブランケットに包まれているような柔らかな温かさと感触が、風が吹いた時に感じられた。
いったんは晴れ間が見えたものの、また午後から天気は下り坂だとテレビの中の気象予報士は言っていた。
僕はゆっくりと北へ向かう。
白味が強かった曇り空が少しずつ暗くなっていく。
襟元から入ったひとつの風が、僕の左胸をヒヤリとさせた。
期待と妄想の果てに、当てが外れてちょっぴり気落ちする。それに近い感覚。