ふと、自分の歩いてきた道を振り返ってみる。
曲がったりくねったり、起伏の激しい山もあり丘もあり、安らぐせせらぎもあった。
ところどころに壁も見える。
なんて思いながら、前に向き直ると
また、ちょっと先に壁があった。
今回のもまた、ブ厚く堅固で、それでいてやはり、ヒンヤリと冷たい印象。
その壁は我が道の左右にどこまでも延びている。
避けては通れない、ってことか。
すぐには乗り越えられないだろうから、ひとまず壁に沿って歩いてみる事にする。
どのくらい歩けばいいかは分からないけれど、どこかでちょっぴり低くなっている所があるかもしれない。
その時に乗り越えられるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
壁の向こうなんて見た事はないし、背伸びしてまで見れるとも思わない。
ただ分かっているのは、今までの道にだって壁はあった。いつの間にか壁の先に僕はいた。
乗り越える方法は憶えていない。
でも僕は今、ここにいる。
それは事実。
そして君も彼もあの娘もきっと同じ。
誰も壁に背を向けている人はいない。
強いなぁ。
それがいい。