11513歩を進んできた。
産まれた時は裸だったのに、色々身に付けて。
必要なものも、余計なものも。
その分、支える足は地面に深くめり込む。
重い腰が上がらず、フットワークも重くなる。
なるべく身を軽くしたいと、
自ら削いで、置き去りにしてきたものがある。
ずっと手の中にあると思っていた、失くしたくなかったものも。
ふと後ろを振り返れば、足跡と置いてきたもので道ができていた。
草食動物は迫り来る敵を察知して逃げるために、眼は顔の横についている。
肉食動物は捕らえる獲物を見据えて追うために、眼は顔の前についている。
人間の目が前についてるのは、なるべくなら後ろを振り返りたくないためなのかもしれない。
道は後ろにできてはいるけれど、戻る事はできない。
今あるものと、その速度で何も無い前方へ明日も歩いて行くだけだ。