HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

怠公望

晴れた休日は海岸へ行く。

防波堤の先端に座り、釣り糸を垂らす。

この季節の風は穏やかで、陽ざしもやわらかい。

海面も静かなものだ。

仰向けになれば、高い空が視界いっぱいに広がる。

雲は西から東に形を変えながら動いていく。

この齢になってもいまだに、あれが水蒸気の粒の集まりだということは信じがたい。

遠くのテトラポットにも釣り人がいる。こちらは僕と違って根魚を狙っているのだろう。

ポイントを見定めようと右往左往している。強風に煽られたりしないかと不安になるも、この天気なら大丈夫かと思う。

ウミネコの鳴き声と、寄せる波の音だけが僕の耳に届いている。

缶コーヒーを開け、煙草を吸う。

陽ざしと潮風がうまくミックスされ、心地よい空気が僕を包む。

青い空を眺めながら、目を閉じてみると、まぶたの裏は朱い。

ああ、僕は生きているんだな、血が巡っているのだな、と思う。

このまま眠ってしまっても構わない。少しコンクリートが背中に痛いが。

こうして時間は過ぎ、その間ピクリとも動かなかった釣竿を片付ける。

動かないのもしょうがない、餌と針はつけていないのだから。

生餌が苦手なのだから、疑似餌を買えばいいのにとは分かっているが、しない。

ときおり自分の心の奥が分からなくなる。