「僕の人生の主人公は僕だ」
そう考え始めると、果たしてこの物語はどうだろうか。起伏がないわけじゃないが"波乱万丈"というにはおこがましいし。
道ですれ違う人、人、人。
彼らにもそれぞれの主人公格となる物語があって、ストーリーは進行している。さっきすれ違ったサラリーマンは、僕の人生に出てきたエキストラ役とも言えるし、僕は僕でサラリーマンの彼の物語にエキストラ出演しているのかもしれない。
「僕の人生の名脇役は誰だ」
要は主人公格である自分以外に、ストーリーに大きく関わる人物。ヒロインなのか親友なのか、家族なのかそれともライバルか。もしかしたら激しく憎み合う敵役か。
章を追うごとに複雑化していく人間関係。"名脇役"の称号はこのストーリーが終わりを迎える間際にならないと分からないようだ。
ただ一つ、欲を言えば、僕は誰かの物語の中で"名脇役"でありたい。
「僕の人生は全くの未知だ」
僕は僕の人生という物語を、たいてい主人公であるという認識を忘れて進めている。交通事故や重い病気などのストーリーに急な終幕を下ろす懸念要素はそこらじゅうに溢れているし、脚本や演出のアドバイザーが常に寄り添ってくれているわけじゃない。
未知なる道を、前を向き歩く。時には走り、空を仰ぎ、そしてたまに後ろを振り返る。
明日の天気予報に一喜一憂はするけれど、何章か先の物語がどうなっているのかなんて予想できない。
胸をはり顎をひいて、なるべく笑いながら過ごしていくしかないのだ。