男にとってそれは、快感を伴って排出され、ティッシュで拭きとりゴミ箱へ捨てるだけのもの。
女にとってそれは、痛みを伴って排出され、ナプキンで吸いとり汚物入れへ捨てるだけのもの。
長い間、ただ捨てられていたものが、とあるタイミングで出会う。
そうするとそれは、男にとっても女にとっても大切な宝に変わる。
胎内で命となり、280日後に光を浴びる。
そして首が座り、寝返りを打ち、はいずり、つかまり立ち、歩き、駆け回る。
泣くだけだった主張は、表情の変化を伴い喜怒哀楽を表し、言葉でもってコミュニケーションを図る。
純真無垢だった心は、嘘をつくことも覚える。
従順だった姿勢は、反抗心が見え隠れするようになる。
子は親の心情をまだ理解できえない。当然まだ親になったことがないからだ。
だからこの感情もまだ伝わらないかもしれない。
いつまでたってもお前は宝だ、と。
光を浴びて4,018日。
