旅に出たい。
どこか目的のあるものではなく、ただひたすらに読みかけの文庫を読みながら鈍行列車に揺られる旅。
駅に着き、客が降り、また別の客が乗る。僕はその繰り返しを横目に、終着駅までフィクションの世界に没頭する。
終点で降り、行き当たりばったりで宿を探す。
地物の料理を食べ、湯につかり、少しだけ酒をたしなむ。小さな出会いがすぐそこにあるかもしれない。
一日、一か月、一年、少しずつ目的や目標へ向かっていくツアー。
人生はそれが連なった壮大なジャーニー。
ちょっぴり遠回りをする余裕という名のトリップ。
それは人生におけるトラップやスリップではなく、トラブルを難なく越えるためのトラベル。