HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

ようこそ僕の夢の中へ


今朝見た夢の話。


場所は20畳くらいの部屋が四つほど続いている、旅館の宴会場のような、大河ドラマに出てくる城の一部のような部屋。ただしそんなに明るく綺麗ではない。千と千尋の神隠しに出てくる湯婆婆の居室くらいの明るさしかない。


ここで宴会が催されているようだが、人数はさほどいない。僕はそれを部屋の一番端の方から見ている。飲食をしているのは4,5人といったところか。皆てんでに喚いたり、部屋の中を走り回っている者までいる。ここで少し自分の立場がわかる。たぶん恐らく、僕は歓迎されていない。歓迎されていないどころか、ハジキ者にされている。僕と宴会場の間には、目に見えない隔たりがあるようだ。


しかし、全員から歓迎されていないというわけではないようだ。これは直感で分かることなので説明できないが、1人は味方のようである。


彼は刺身の盛り合わせの皿の中から、どうにかして僕に分け与えてくれようとしている。だが他の奴らが阻害する。仕方なく、彼は刺身の一切れを僕の方に投げてきた。たぶんだけど、これを食べれたのなら僕は隔たりを越えていける。彼が投げてよこした一切れの刺身(色で判別する限りサーモン)は、10メートルほどフリスビーのように舞い、僕のいる部屋の手前で落ちる。僕が動こうとするより早く、別の誰かが掠め取る。僕になんとしてでも拾わせないように。


次に味方の彼は、部屋の横を通る廊下に刺身を投げる。廊下と各部屋は仕切られてはいるが障子戸は開け放たれている。今度は一切れの刺身ではなく、サクを縦半分に割いたような大きさだった。僕は刺身に向かって走る。反対側から阻む者もダッシュしてくる。間一髪、僕の方が距離的に近かった分有利だった。僕はサーモンの塊を左手で鷲掴みにすると、躊躇なく一口かじった。ちょっとしつこめの脂が口に拡がる。その瞬間、何かが変わった。


僕はズンズンと阻む者たちのいる方へ向かっていくことができた。そしてこう言う「ワサビと醤油もくれよ」


喰い散らかされた皿たちの中からワサビの小さな山を見つけると、右手で少量を取り、左手に掴んでいたサーモンに塗った。また一口かじる。脂のしつこさがワサビのおかげで中和された感じがする。


その時、さっき僕がいた部屋から出た廊下のあたりで音がする。音を聞いたとたんにわかるヴゥーーンという音。ハチだ。その廊下のあたりまでは10メートルくらいあるはずなのに、はっきりと聞きとれるほど強い。とっさに「オオスズメバチか?」と危惧する。僕もまわりの連中も動きを止める。ハチはこちらの方へ飛んでくる。廊下と僕の間には、阻む者が2人ほどいる。恐らく僕のところまでは来ないだろう。だが警戒を解くわけにはいかない。僕は廊下に背を向けたかっこうでじっと動きを止めたまま様子をみる。


こういう場合の予想というのはだいたい外れる。そう、悪い方に。


なんとハチは阻む者たちには目もくれず通り過ぎ、僕の背後にやってきた。羽音が近づいてくるので見なくても状況は把握できた。そしてハチはゆっくりと僕の右頭部のこめかみの少し上に止まった。


かつてない恐怖が僕を襲う。目視で確認していないのでオオスズメバチだとは断定できないが、羽音から想像するに強力な毒針を持っているだろう。僕はまぶたを閉じ、身体全体に神経を集中させる。ささいな動きがハチを刺激してしまうかもしれない。その瞬間僕は刺されてしまうだろう。唯一の明るい情報として、僕はこれまでの人生でスズメバチに刺されたことは無い。すなわちそれはアナフィラキシーショックにはならないということだ。しかし、痛みのあまりショック死してしまう人もいるというのを何かで読んだことがある。恐怖はハチが僕の頭から飛んでいかない限り続いていく。


じんわりと汗をかきながら堪える。何分か経ったのかそれとも数秒しか経っていないのかは分からない。ひたすらに右眼の十数ミリほど上にいるハチを刺激しないよう集中する。こめかみに浮き出た血管の脈がヤツを刺激しないといいが。


ふと、別方向から音がする。さっきほどの強さはないが、これまた羽音だった。ハチがもう一匹現れた。そしてこいつも僕の方へ近づいてくる。なぜ僕のところにばかり?左手で握りしめているサーモンが彼らを惹きつけるフェロモンか何かを誘発しているのか?考えている間に二匹目のヤツは僕の右手の甲に止まった。薄目を開けてハチの種類を確認する。オオスズメバチではない。身体のどの部分にも黄色く塗られているところはない。大きさも2センチほどだ。もしも僕の右頭部にいるのがスズメバチだとするなら、異種族の争いが起きるかもしれない。その隙に僕はこの状況から脱出できるかもしれない。だがそんなことを考えているうちに、クロバチはゆっくりと尻を持ち上げ、先端についた針で僕を刺そうとする体勢をとりはじめていた。僕はなりふりかまわず左手のサーモンを離し、右手甲の上にいるクロバチに攻撃をしかける。ハチの身体を掴んだ感触と、昔アシナガバチに刺された時と同じ痛みが同時に伝わる。刺されたのか、殺ったのか、情報が錯綜し混乱する脳にもう一つの別の音が混線し、それが枕元に置いたケータイのアラームだと分かった瞬間に僕は夢から覚めた。


思わず左手で右手の甲をさする。