そもそもの間違いは、今日という日においては"足元の防寒を怠った"ことだろう。
靴の上から履ける防寒ブーツなるものをこの冬購入し、通勤退社の際には履いている。
今日は通勤中に立ち寄る場所があり、そこでわざわざ脱ぐのも面倒だし、晴れていて比較的暖かそうだ、と思ってしまっていた。
用事を済ませて歩いている。歩道には数日前に降った雪が踏みしめられてところどころ残っている。
積もった雪はだいぶ溶けてきてはいるが、思ったよりも気温が上がらず、歩道自体も夜になれば路面がやや凍る。
数十分寒風に吹きさらされた後でそんな道路を歩いていたら、つま先の感覚が鈍くなるほど足がかじかんだ。
冬の始まりのころに一度試した方法をとってみる。シンクに湯を張り、靴を脱いでコンビニの袋で防水対策をして湯の中へ足を入れる。即席の足湯の出来上がり。二、三分も浸けていれば感覚が戻って来ることは実証済みだ。
過信。コンビニ袋にはわずかながら穴が開いていたようだ。
水圧でピタリと靴下に貼りついたビニールの感触と、湯の温度を感じている時、じわじわと濡れている事には気付かない。一度試してみるといいと思う。
コンビニ袋への過信のせいもあり、前述したように靴下は履いたままで足湯に浸かっていた。当然、穴の開いた袋から湯がにじみ、ゆっくりと靴下は濡れていく。気がついたのは湯から上がったときだ。
自分自身への舌打ちを我慢しつつ、脱ぎ辛くなった靴下を外し、足をタオルで拭いて靴を履く。
靴下はエアコンの風が当たる所に干す。
素足に革靴のまま、数時間を過ごすハメになる。
以上の出来事により、幾つかの事を学んだ。
まずは、足元の防寒を怠らない。
コンビニ袋を信用しすぎない。
素足に革靴は、気持ちがワルい。
取るに足らない事柄からも、人は何かを得る事ができる。
こうして日々、僕の、君の、誰かの人生は更新されていく。