HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

コイントス

<息子とコイントス>

『コインで決めようか』
そう言うと僕は、鉤状に曲げた人差し指に親指を引っ掛け、コインを乗せる。
親指を上に弾くと、コインはまっすぐに上へと飛び上がる。
コインが落下し始めたのを目視で確認し、二枚貝が閉じるように、左手の甲と右手の掌で挟んでキャッチする。
それを見て息子はこう言う「すげぇ!」<教師とコイントス>

『コインで決めようか』
そう言うと僕は、ポケットからコインを取り出し、親指を軽めに弾く。
十センチばかり飛び上がったコインをそっと左手の甲と右の掌で挟んでキャッチする。
手の包みを開き、表だったので答案用紙に"×"を記入する。
それを見て教師はこう言う「テストは真面目に受けろ」<友人とコイントス>

『コインで決めようか』
そう言うと僕は、コインを親指の爪の上にそっと乗せる。
ピンッと指を弾くと、コインは垂直に飛び上がり、やがて落下してくる。
落下地点を予測し、左手の甲と右手の掌で挟んでキャッチする。
それを見て友人はこう言う「数字が書いてあるほうが表?裏?」<恋人とコイントス>

『コインで決めようか』
そう言うと僕は、財布から一枚のコインを取り出し、コインを弾き上げる。
幅の狭い放物線を描いてコインは戻って来る。
左手の甲と右手の掌で挟むようにキャッチし、表だったので僕は『結婚しよう』と言う。
それを聞いて彼女はこう言う「コインなんかでプロポーズしないで」