〜歯痒さ〜
「なぁ、今までに歯が痒くなったことってあるか?」
『虫歯で痛かったり、噛み合わせ悪くてギコチなかったりすることはあるけど、"痒い"ってのはないね。』
「だよな〜。誰に聞いてもたいがいそんな答えなんだよ」
『まさか、そんな質問のために呼び出したんじゃあるまいな。』
「こんなに、誰も体験した事のないことなのに、"歯痒い"って慣用句は浸透してるんだよな〜。しかも、歯が痒くなった事がないのに使っちゃってるし。」
『で、他にも悩んでることでもあるんだろ?』
「あぁ〜、まぁ、色々とタマってることはあるんだけども」
『"色々"ねぇ。とりあえず話すだけ話してみろよ、せっかくこうして来てやったんだから』
「そう言われると、かえって言い辛くなるモンなんだな」
『あのな、友人ってのは大切にしろよ。ぶっちゃけた話、恋人とか彼女とかってのは、二次元で足りてしまうようなヤツもいる。画面だの写真だの見て、妄想膨らましてオナニーでもしてりゃそれでいいんだからな。それに比べたら、友人ってのは二次元じゃダメなんだぜ。お前の周りに、"シーマン"で友情は事足りるってヤツがいるか?相談乗ったり、メシ食ったり酒飲んだり、一緒にバカやったりできるのは、紛れもなく三次元世界にしか存在してないんだよ。』
〜皮肉〜
『これから、オレがする質問に、全部”うん。”で答えてみて』
「うん。」
『わたし、浅草雷門を見たいです』
「うん。」
『飛行機一機チャーターしちゃっていいですか?』
「うん。」
『幾らかかってもいいですか?』
「うん。」
『場所はどうします?この時期だからやっぱ軽井沢とかいいっすよね?』
「うん。」
『オッケー。これで君も国のトップになれる素質はあるぜ。』
「おお!」
『キーワードは、"生きています"だ。これを言わせるのを忘れるな』