HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

A SUMMER

15分ほど、待ち合わせの時間を過ぎている。
しかも、向こうが言ってきた時間だというのに。




「いよう。」



『お待たせお待たせ』



「遅ーよ。しかし、昨日より寒いな!」



『サマーだな』



「え?夏?」



『"昨日より寒い"んだろ、サマーじゃん』



「それってもしかしてLong、Longer、Longestの比較活用のヤツ?」



『無論。サムイ、サマー、サメスト。』



「でたよ、お前のムリクリこじつけヘリクツ発言。元の単語が日本語じゃん」



『いいんだよ、伝われば』



「伝わんねーって」



『じゃあ、他になんか言い方あんのかよ』



「開き直った上にカルく逆ギレかよ。"昨日より寒い"でいいじゃんか」



『そういうさ、現状維持推奨の文化は良くねぇって。流行語大賞とかさ、去年は全く使われて無かった言葉が大半だぞ』



「だとしても、"サマー"は断固としてノミネートされないね。」



『思いついて口に出ちまったんだからしゃーねーだろ』



「お前のその、なんでもかんでも思いついた瞬間に口に出す癖ってどうかと思うぞ、"口は災いの元"って言うくらいだしな」



『お前が言葉を選び過ぎるんだよ。誰かとサシで喋ってても、大半沈黙のくせして』



「うっせーな。なら呼び出したりなんかしなきゃいいだろ。ってか、何の用だったんだよ」



『"サマー"って使いたくて』



「え?まさか、それだけ?それだけのためにオレはノコノコ家を出てこさせられたってワケか??」



『なんかマズいか?』



「バッカじゃねーの。そんなくだらねー用事でわざわざ激混みの街中に呼び出すんじゃねーよ。周りは光のページェントの見物客ばっかりじゃねーか、しかも遅れて来やがって!女と待ち合わせならともかく、こんな中に男二人なんかでいるなんて死にたくなるぜ、クソ」



『前言撤回。お前も言葉を選べよ』



「うるせー。こないだのSPECが録れてなくてイライラしてたとこなんだよ!」



『ああ、それならオレDVDに撮っといたヤツあるぜ』



「・・・マジ?」



『ああ、マザーだ』



「お前の母ちゃんに感謝するよ!」



『いや、録画したのはオレだよ』



「"マザー"ってなんだよ」



『"マジ"の比較上級版だ』



「なら、お前は"マゼスト"じゃねーか!!」