海の日に海へ。
なにしろ、約2年振りに夏がやってきたのだ。
盆を過ぎて海月に邪魔されたくもなかった。
世界は、3色に別れていた。
空の青、
海の蒼、
砂浜の白。
体が、3色に別れている。
焼けた茶、
半火傷の緋、
陽の目をみていない白。
痛みと熱にうなされ、思わず神に祈る「神様、はしゃぎすぎた罰なのでしょうか?過去に犯した罪も悔いています。どうか、明日の朝には、いつもどおりの体に戻っていますように」
『身のほどを知れ、軟弱者。
痛いだの辛いだのと感じてから祈りを捧げても、聴かれるワケがなかろう。
貴様と神の距離はそんなに近いとでも思っているのか?
都合のいい時ばかり頼りやがって。
ましてや、貴様の他の罪を裁くのは、他の人間だ。神ではない。
許しを乞うなら警察署か裁判所に行け。
そして、貴様の体を治癒するのは薬か医者だ。
薬局か皮膚科に行け。
貴様の祈りが、ようやく神に届くころには、この夏はおろか貴様人生そのものが終わっていてもおかしくはないのだ。』
誰ともわからない声が、聞こえた気がした。