HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

ポジティブ・フォロー

彼は、自他共に認める楽観者だった。


人から見れば呆れるくらいに、何もかもを前向きにとらえた。


宝くじを買えば当たると信じて疑わず、配当金がたとえ300円だったとしても喜んだ。


メールに絵文字が入っているだけで嬉しくなったし、空が晴れているだけで足取りが軽くなった。


とある歌の歌詞が自分と同調していれば、そのモデルは自分だと思えた。人に自分を知っていてもらうことが素晴らしい、それだけで今の自分は生きている価値があると思っている。


デートの時なんかは、相手が笑っているだけで嬉しかったし、次の食事をどこにするかを思い巡らせるだけでも楽しかった。もちろん、ベッドを共にしている時なんかは、今の自分以上に幸せな人間なんていないんじゃないかと高揚し、暖かい微睡みへと落ちていった。
目を覚ました時に、横にいる幸せを肌で感じていた。


生きていればぶち当たる試練と呼べる数々の事柄も、彼は乗り越えるべきハードルとして立ち向かった。







かといって、彼も常に笑顔でいるワケではない。
夜を待ち、見上げた空には星が滲んでいた。