HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

10年⑥

オレが通っていた高校は3年生で修学旅行に行くんです。行き先は北海道の札幌、小樽、函館を2泊3日。飛行機で初フライト。友人グループと4人で行動、数枚の写真には片手タバコ。3日間のうち1日土砂降りにあい、自称晴れ男の担任は移動バスの中で「今夜は(雨の)責任をとって見回りナシ!」と豪語したため、おれ等は宴会酒盛り。(もう時効だと信じている)

すっかり函館の虜になったオレは、卒業後1人旅を決意する。(裏では引きずっていた傷心旅行という名目を掲げつつ)
もちろんローカル各駅停車の東北本線下り。なんせ片道分のお金しか持って行ってない。朝出て、青森駅に着いたのが23時くらい、そこから青函トンネルを通る「ドラえもん列車」にのって函館へ。寝袋を持参していたオレは野宿先を探しに。駅周辺は人通りが多い。函館湾付近にある小学校らしき建物の校庭のフェンスの外側、ちょっとくぼんだ所で決める。波の音が想像以上にでかく、なかなか寝付けなかった。
チャイムに起こされ、港朝市の方向へ。「あき」という小さな食事所へ。このたびのメインイベント、うに丼を食す。壁には一面に色紙が貼ってある。よく見ると芸能人ではない。おばちゃんに話を聞くと、ふつーのお客さんに書いて残してもらってるそう。早速色紙をもらい、旅の決意とうに丼の感想を。もう6年も行ってないから当然剥がされてるかもしれないけど、また行ってみたい。
朝市で色んな店の人に臨時のバイトを頼んでみるが、無論NG。帰り賃の心配が募る。お構いナシに五稜郭へ。大好きな新撰組副長土方歳三に会う。近くの大衆浴場(銭湯)で疲れを癒す。
さぁどうしたものか。とりあえず本州に渡ろうと、ギリギリの金で函館港から青森港までフェリーに乗る。青森港到着15時。去年とった杵柄で、青森からチャリで帰る案を選択、鍵の無いチャリを探しに駅方面へ向かう。市役所付近で奇跡的にも発見!ママチャリよりもおばさん色が強いチャリを手に入れ、とりあえず4号線沿いに「浅虫温泉」方面へ。1週間くらい走れば仙台に着くだろうと自分を納得させる。
陽も落ちてきたので、駅で野宿にする。ここで出会ったホームレス?のおっちゃん2人と意気投合し、チャリを捨てて行動を共にすることに決めた。市役所には福祉課というところがあり、何か隣町までの運賃や1食分のパンなどを貸してくれるらしい。最初はおっちゃんたちに任せ、なんとか思っていた帰りとは逆の弘前市からの県境まで行く。そこにあった駅は小さいがテレビがついていて、駅員もいない。夜中12時頃になると、不審に思った近所の人が通報したのか、警察が来る。未成年ということをひた隠しにし、パトカーに乗せられる。どこへ行くのかと思いきや、境を越えて秋田県に入ったすぐの所で下ろされる。青森県警だからとりあえず所轄外まで運び、放置プレイする気らしい。
オレ達は山沿いのバス停みたいな小さな駅で就寝。
福祉課のコツを教わったオレは、秋田市に入ったところで2人と別れる。また1人旅に戻った。なんとかかんとか秋田〜新庄〜小牛田〜仙台へ。

もちろんノンフィクションの旅だけど、中には堂々と人に言えない行動も幾つか思い出されるので、この辺で終了、これも時効と信じている。



次回からは、いよいよ親友と今の自分たちの場所を見つけるまでの2年間を。