言葉とか歌詞とかは関係なく、メロディとリズムと湿度とでもって「ノスタルジック」な気持ちにさせてくれる曲を聴いている。
初恋をよく、大人になってから「ションベン臭い時代の」とか、「今となっては甘酸っぱい」思い出とかと言う。
何年も見ていないその相手の顔を思い浮かべる。
「ションベン臭い」などと、卑下する言い方なんてできやしない。
「甘酸っぱい」なんてとても思わない。
確かに、今より若く、幼く、駆け引きの「か」の字も知らず、ただただ120%で相手の事を想っていた。
そして、その恋は散る。
これがどうして甘酸っぱいなどと言えようか。
当時の心境は、ドロドロとして暗く、苦い塊を無理矢理喉の奥へ押し込むようだったはずだ。
喉へ押し込み、消化し、排泄する。
身体の中に何かを残して。
どこかに埋もれていたその欠片を見つけさせる、メロディとリズムと湿度。
何年も経っていても、やはり苦い。
そして、もしも再会の時が来たなら「ラララ」とその曲を口ずさんでみる。
多分、ちょっと甘い。