HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

土曜日の喫茶店で

暑い日が何日か続き、急に肌寒い日がやってきた。そんな土曜日の昼下がり、待ち合わせの時間まで少し間があったので、僕は喫茶店へ入った。

コーヒーの味を楽しむためではなく、ただ数十分の時間をつぶしたいだけだったので、安いチェーンの店で良かったのだ。

扉を開けると、昼時は過ぎていたものの店内はほどよく混雑していた。

席を確保する前に注文をするのがこのタイプの喫茶店のマナーであり、僕はそれを実行する。

目の前に若い母親と四、五歳くらいの女の子が並んでいた。母親は五百円玉を娘に渡し、一歩退いた。女の子は懸命に背伸びをして、レジ係に硬貨を渡し、小さな声で注文をした。が、発音がよくなかったのか相手には通じなかったようだ。母親が後ろからそっと注文を繰り返す。

レジ係はオーダーを別の係に伝え、おつりをレシートとともに女の子の手へ渡した。母親がケーキを受け取り、二人で席へ戻っていく。

自分のオーダー順がきて、僕はブレンドコーヒーを注文する。小さな盆に乗ったコーヒーを受け取り、紙コップに冷水を注ぎ、喫煙スペースへ向かう。先ほどの母娘がモンブランケーキを分けて食べていた。

とても美しい光景だと僕は先ほど目にした母娘と店員のやり取りを思う。母親は娘の自主性を伸ばし、それに店員も応えた。女の子は少し誇らしげにママとケーキを食べている。薄曇りの肌寒い週末だが、少し体の内側からほっこりした。

僕は席に座り、鞄から本と煙草を取り出し、数十分の間に数十頁の活字を追い、煙草を二本吸い、熱いコーヒーを少しづつ飲み、その後で水を飲み、周囲に聞こえないように注意しながら放屁した。