昨夜、帰宅したところ晩酌用の焼酎がグラス1杯分しか残っていないことに気が付いた。
水割りにしてゆるゆると飲んでいたが、やはり足りない。
そこで僕は革の長財布をつかみ、家を出た。
雨上がりの静かな夜で、風も吹いていない。ところどころから金木犀の香りが漂っていた。
家の庭の金木犀は10日ほど前に花を落としてしまっていたので、なんとも羨ましいような嬉しいような気分だった。
つつがなくコンビニで買い物を済ませ、来た道を歩いた。
テレビを眺めながら、しばらく酌していたが、次に気づくと翌朝の11時、布団の中だった。
遮光のカーテンを引いていたので、陽が昇ったことに気づくのが遅れたようだ。
食器も片づいているし、なにか特別なこともなく就寝したのであろう。
着ていたものも寝間着のままだったが、なぜか下着だけ履いていなかった。
それはキッチンのゴミ箱に放り込まれていた。
昨夜、どのような事態が起こりそのような顛末になったのか、全くの謎である。