非常にファンシーかつSF的な、「悪魔に寿命を持っていかれる」夢。
周囲に信じてはもらえないだろうと思いつつ話すと、意外と受け入れてくれる世界。
僕の命は今日の午後三時で終わる。
午前中のうちに、なぜか父と母方の祖父が二人で訪ねてきた。心配してくれたのだろうか。
正確な時刻が決まっているならと、正装し正座でその時を迎えると僕はなぜか達観していた。
自分自身の死が迫っているというのに、落ち着いている。もしくは、まだ半信半疑なのかもしれない。
妻ではなく、恋人が家に現れた。看取る覚悟で来てくれたらしい。
午後二時を過ぎて、ようやく恐怖がじわじわとせり上がってきた。
苦しみや痛みはあるのか、それともテレビや照明の電源を落とすように僕の意識のスイッチが切れるのか。
時計の針は普段通りで無慈悲に、コチコチと進んでいく。
僕は着替える前に、一度玄関から外へ出た。
あと五分。
疑心暗鬼と生への終着で、呼吸が乱れていく。
死を達観することなどやはり無理なのだ。
息が荒い。