夜の繁華街近くで、背に大きなリュックをしょった男を見かけた。大型連休を利用して旅に出てきたのだろう。彼は僕が並んでいたコンビニの隣のレジにいたのだ。
コンビニ店内のポットで、カップヌードルにお湯を入れて外へ出ていく。もう食べたいのか?夜の繁華街で。
彼は夜鳴きラーメン屋の前で、おもむろにカップヌードルを食べ始めた。
そして少し歩き、居酒屋の前でワンカップをあおった。
カラオケの客引きの前でアカペラを熱唱した。
風俗店の陰で自慰を始めた。
満足そうにビジネスホテルまで歩き、リュックから寝袋を取り出し路上に広げてもぐり込んだ。
貧しさを、想像力の豊かさでカバーしているのか。
彼の旅の終着点が気になるところだが、僕もそれほどヒマではないので帰路へつく。