HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

クリスマスが休日

23日の金曜が祝日、24日のクリスマス・イブが土曜日、そして25日は日曜日。

社会人になってから、また子供が産まれてからは初めてのように思える理想のラインナップだ。

週休二日制が当たり前になっている僕の職場では、これまで平日にクリスマスが当たっても盛大にパーティーなどできるわけもなく、帰宅後にチキンの残りとケーキの残りを妻と二人でつついた。子供たちはもう寝ているので、忍び足でそっと枕元にプレゼントを置く、これが恒例だった。

でも今年は違う。三連休をまるまる家族とクリスマスらしく過ごせる。昨日は混んでいるのを承知で映画を観に行った。そして今日は朝から娘がリビングに手作りの飾りつけをしている。今夜はピザと、僕の作るローストビーフと、妻が作るアクアパッツァ(恐らくドラマに影響されている)でクリスマスディナーの予定だ。

夕方に、時間指定で予約をしていたピザ屋へ受け取りに行った。昨日行った映画館のチケット売り場かと思うほど、行列ができていた。この店は宅配ももちろんやっているが、店頭まで受け取りに行くとサービスがつくので選んでみた。並んでいる間、レジの向こうに見える調理場を眺める。娘は仕切りガラスのところまで興味深そうに移動していた。生地を丸めてストックしてあるバットが積まれていて、横でそれをこねたり広げたりしているスタッフがいる。コの字になった調理カウンターの真ん中では、できた生地にトッピングを乗せているスタッフが数人いる。それぞれの目線には注文されたピザの名前が小さな電光掲示板で表示され、その順番通りに彼らは次々と具を乗せていく。その背中側には窯があり、焼場担当のスタッフがいて大きな木べらにピザを載せ中に入れている。焼きあがったものに後がけのトッピングを乗せる女性、箱詰め担当、ここからは見えないが奥には配達担当が待機しているのだろう。そして僕の前に見えるのはレジ係の若い男性だ。総勢15人ほどが目まぐるしく動いている。

僕のように事前予約をしていなかった客は、焼きあがるまで店内で待っている。中にはあからさまに苛立っているオジさんもいる。注文をキャンセルして帰っていく者もいる。僕も待つのは嫌いな方だが、なぜか心に余裕があった。

苛々するはずがない。考えてみてほしい、この店だけで十数人が、クリスマス・イブの、しかも土曜日に働く事を選んでくれたのだ。もちろん、寂しい週末を過ごすよりは働いて稼いだ方がマシ、と選んだ人もいるだろう。しかし恋人とのデートや家族との予定を返上して働いてる人もいるかもしれない。彼らや彼女たちのおかげで、僕たちは今夜家族でピザを囲んで暖かな時間を過ごすことができるのだ。

10分ほどで会計の順がまわってきた。ピザを受け取り、車へ戻る。車内に焼けた生地とチーズの匂いが充満する。
娘と「ちょっと味見しちゃう?」「そうしちゃおっか」などと冗談を言い合いながら、僕は家まで車を走らせる。