HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

カフェイン・イン・ザ・カフェ

まさに「しんしんと」雪が降るある日のこと。世界は白と灰色と数種類の褐色に支配されていた。

私は一時間に一本しかやって来ないバスの発車に合わせて早めに家を出た。

バスに揺られていると、予定していた仕事がキャンセルになったとの連絡が入る。バスは大型スーパーマーケットの脇を通りすぎる。その駐車場にあった店舗から少し離れたところにある屋根付きのカート置場がとてもさびしそうに見え、私は自分自身の現状と重ね合わせる。

もて余した時間をどうしようか。ウィンドウショッピングや散歩をするには天気も気温もつれない。かといって食事には早すぎる。ある程度の暖がとれて時間のつぶせる屋内といえば私の貧相な思考では喫茶店しか思い浮かばなかった。幸い、停留所のすぐ近くにチェーン展開の喫茶店を見つけたのでそこへ行く。

少し前までは毎日のように飲んでいたコーヒーが最近はなぜか好きではなくなっている。甘いものを欲してもいなかったのでミルクもシロップも付けない紅茶にした。





文庫本のページをたぐりながら、貴方のことを想う。

お互い右手に傘、左手に鞄で塞がっていてはどのみち手も繋げなかっただろう。
両手の空くショルダーバッグかリュックなら、とも思ったけど、貴方には似合わなさすぎて私は紅茶を啜りながらちょっと微笑む。