HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

デクレッシェンド・ストーリー

兆しはどこかにあったのかもしれない。


「今日でお別れしてください」と僕の背中にコツンと頭をつけて彼女は言った。不思議と僕は驚きも迷いもせず「うん」とだけ答えた。真夏日が続いていたある夜、僕の小さな恋がまた一つ終わった。


彼女は「"万が一"って言葉はとてもデクレッシェンドね」というような事を突然言い出したりするのだが、僕は彼女のそんなところが好きだった。


最近読んだ小説の中で「夏に燃え上がる恋よりも、秋に始まる恋の方が長く続く」ような台詞を主人公が言っていたのを思い出した。彼女とはいつ出会ったんだっけ?


デクレッシェンド。ある日のピークを境に、僕たちの気持ちは少しずつ薄らいでいたのかもしれない。砂時計の砂みたいに少しずつ、重力に逆らえないのと同じような自然さで。


小さな恋とは言え、喪失感が全くないわけではない。今の僕に必要なのは少しの時間と精神統一。