HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

睡眠に勝る欲望なし


そもそも、背もたれ代わりにソファーが置いてあることが間違いなのだが。



いつのまにか消失してしまっていた意識が戻ってきた頃には、炬燵の中へ暖気を供給していたストーブが消え、思わず身震いするほどの気温へと低下した室内と化していた。



幾ばくかでもれっきとした睡眠をとらねばならないと判断し、布団のある寝室へと重い腰を上げる。



この時期の布団というのは、本来の役割を半分ほどしか満たしていない。「保温力」は掛け布団と毛布とでようやくの力は出せるものの、幸福な睡眠に欠かせない「布団に包まれた瞬間の温もり」に関しては零点である。



先ほどまでいた炬燵のほうがまだマシだったのではないかと思うほど、毛布と敷き布団とに挟まれた空間は冷たい。この先、しっかりと保温してくれるかどうかも怪しい程だ。



左右、足元の端をそれぞれ身体の下に丸め込み、蝶のサナギのように頭まで潜る。冷気により覚醒してしまった意識を納めるべく、瞼の奥、眼球の上部に集中する。いずれ睡魔はやってくるだろう。




睡魔に少し遅れた差で朝がくる。



もぞもぞと身体から殻を剥がす。この一瞬だけ、離れがたい布団の温もりを感じることができる。



当然ながら、身体には羽根など付いているわけもなく、朦朧とした意識と喉の奥に何か引っかかる感触とで鈍重だ。









日中にも関わらず、睡魔は度々様子を伺いにくる。

すぐ横に腰を下ろし、上目づかいでこちらを見ている。

女性であれば、肩を抱き寄せているとこだが、残念ながらヤツは悪魔だ。



生物の三大欲求が遣わす悪魔だ。

食欲と性欲が満たされていれば、誘いに乗ってやってもいいのだが。

理性が悪魔を邪魔する。

どちらが魔なのか。