大人が、自転車の二人乗りに対して怪訝な顔をするのは、
道交法上の違反だから、というよりは自らの「もう取り戻せない青春の日々」への嫉妬からくるのだろう。
そんな事を考えていた月の綺麗な春の夜。
夢には昔好きだった娘が出てきた。
もう戻れない甘酸っぱい過去。
当時はただただ甘く、痛みを憶えて辛いものとなる。
時が経つに連れ酸化していき甘酸っぱくなり、痛みは少しずつ和らいでほろ苦い想い出になる。
こう考えると人生には塩っ気がない。
三月の春は別れの春。
四月の春は出会いの春。
目が覚めた時の鼓動は、いつもより少しだけ速かった。