左のこめかみの2センチほど後ろ斜め上のあたりが痛い。
晩飯に肉を腹一杯食べたので、酒のツマミに何かを食べるというのは「今さら何言っているんだ?」と思われるかもしれないが、自分ながら憚られる。
そこで今日買ったレタスが2玉ある事を思い出し、洗って適当にドレッシングでもかけようか、と考える。
そして、ドレッシングを切らしていた事も思い出す。
ドレッシングといえば、小学校一年か二年生の国語の教科書に“サラダでげんき”という話が載っていた。
主人公の女の子が、ストーリーに沿ってサラダの材料を手に入れていくような内容だったと思う。
その中で出てきたドレッシングは、酢とサラダ油と塩とコショウをボウルで混ぜただけのごくシンプルなものだった。
が、話を読んでいくうちにそのシンプルなドレッシングがものすごく美味しそうになってきて、台所で作った記憶がある。
実際、舐めてみると美味しかった。
「酢と油と塩コショウだけで!」と理科の実験さながらのように半信半疑で作った少年は驚いたのだった。
しかし翌朝、バターロールと一緒に出されたサラダには、いつも通りのフレンチドレッシングをかけて食べた。
7:42に家を出るのが半ば習慣になっていた覚えがある。
風が強いせいか、その音しか聞こえない夜に読書をしているせいか、
レタスから小学校低学年の記憶が導き出されてきた。
左のこめかみの2センチほど後ろ斜め上のあたりが痛い。