「"風が吹けば桶屋が儲かる"って、言葉知ってるか?」
『あー、江戸時代のアルゴリズムのヤツね。
強風が吹く
↓
砂埃で盲目になる人増える
↓
当時、盲人は三味線をよく弾いていたから三味線の需要が増える
↓
三味線に使う猫の皮が足りなくなって猫が減る
↓
天敵がいなくなってネズミが増える
↓
桶が齧られる
↓
桶の修理受注で桶屋が儲かる、だっけか』
「まあ、大体そんなところだ。つまり、一見無関係に見えても、ひょんな事で世界は繋がっているってーことだ」
『で、本題はそこじゃないんだろ?』
「今日は"勤労感謝の日"だ。」
『ああ、そうだな。オヤジに感謝しなきゃな』
「それだ、その言い回しがおかしいんだよ。確かに大抵の家庭では父親が働きに出、妻と子供は家でその帰りを待つ。
でも、母親とか妻だって、全く何もしてないワケじゃないだろ?むしろ給料が出ないのがおかしいくらいの労働をしてる」
『それもそうだな。ウチはお袋は専業主婦だったから分かるわ』
「だから、さっきの"まず父親に感謝"ってのはおかしいんだよ。感謝されるのは全ての大人達であるべきなんだ。
全 て の 大 人 達 で あ る べ き な ん だ!」
『そんなに繰り返さなくても分かったっつーの。で?』
「という事を言ってたらモテないだろうか。」
『"僕は女性の立場もちゃんと考えてますよ"みたいなアピールか?浅はかだな』
「だってよ、とりあえず結婚して、子供ができて大きくなって、そいつらがオレにばっか感謝してたら、カミさん拗ねちまうだろ。
オレはそんなちょっとのギクシャクもイヤなんだよ」
『実際のところ、そんなんで家庭は崩壊したりしない。』
「するかもしれないじゃないか。この世に絶対、なんてないんだぜ」
『おまえ、結婚に向いてないんじゃないか。つーか、まず働けよ。勤労だの感謝だの言うのはそれからだ。』