起き抜けに外へ出て煙草に火を点ける。
風がゴォーッと吹いて、みるみる空が暗くなっていく。
明かりをつけないまま、シャワーを浴びる。
小窓から稲光が入ってくる。
昨日まではクエイクの連発、そして今日はサンダラを放ちまくるというMP消費を考えない攻撃。
膨大な地球の魔力の前に、なす術も無く打ちひしがれていてはいけない。
そう思い立ち、リフレクを唱えられる魔導士を探す旅に出ることにした。
玄関先で装備を整える。
"布の服"の上から"革の服"を着込む。
少々心許ないが、今はこれしかない。
"APO"と柄に刻印が入った長さ70cmほどの武器を右手に、颯爽と外へ出る。
バシャ停で待つこと数分、数人の先客を乗せてやってきた車内へ乗り込み、
パーティを組めそうな相手を探す。
しかし、
『ちょw、地球敵にまわすとか無理ww』と尻込みする輩や、
『地球のLVは4,600,000,000だ。LV31のお前さんじゃダメさ』と伏し目がちな男や、
『運命(さだめ)ならね、従うしかないんじゃよ』という盲目の老婆や、
『バルスしか唱えられません』という破滅的な若きカップルしかいない。
仕方がない、街の方まで行けば誰か優秀な仲間が見つかるかもしれない。
バシャは終点まで着いた。
降りると、空は晴れていた。
誰か他の勇気ある者が、リフレクを唱えてくれたのかもしれない。
ひとまずサンダラの脅威はなくなった。
しかし、地球はまた再びいつ呪文攻撃をしてくるかわからない。
仲間探しの旅、経験値を積む旅は続ける必要がある。
バーサクやパルプンテしか唱えられないようじゃ、ダメだ。
しかしLV4,600,000,000の敵に歯向かうには、長い過酷な旅が強いられるだろう。
まずは、
耳元で柔らかく天使のような声でベホマを囁いたり、
石化した部分を優しく撫でながらエスナを唱えてくれる、
美人白魔導士を見つけなくては。