『反省は大いに必要だが、後悔はするな。後悔は前へ進めん』
のようなことをROOKIESの中で川藤は言っていた。
名言!と思い、事ある毎に実践しようとしてはいる。
ちょっと振り返って、何が悪かったか、何を間違ったかを検証する。
色々な事を反芻し、再びアタマの中に思い返す。
過去をやり直したくなって、同時に時間は戻らないということを改めて知る。
過去に戻りたいなんてくだらない発想をした自分を忌む。
まだアタマに残っている過ちを思い返して、激しく後悔する。
あ、後悔しちまった。
まあ、いいか。
体験や経験により学習する能力は他の動物にもあるが、
過去を振り返り、思い出と呼べるモノを持てるのは人間だけだろう。
たとえそれがチクリと胸を刺したとしても。
人間に生まれた特権だとでもしておこうか。
"思い出す"といえば、先日夢の中で会った女性の事。
今までの生きていた、起きていた記憶の限り、顔は見たことがない。
見たことがない、というより輪郭がぼやけていてハッキリとはわからない。
うつ伏せで寝ている彼女の、白くて柔らかい肌とシーツの間に手をいれたら、「冷たくてくすぐったい」って言われた。
その後なんやかんやはあったが、夢の記憶をたどれば最後までいかなかったように思う。
あの娘はいったい誰なんだろう?
もう少し経てば、たぶんそんな夢すらも忘れてしまう。
でも、きっとその娘とはいずれ会うのだろう。
そして同じようなシチュエーションがきて、ふと思う。
「あれ、デジャヴか?」と。
今までに経験した既視感とはぞんなもんかもしれない。
誰しもに平等に進んでいく時間が、
鍾乳洞の芸術を創り、
流れる川の形を変え、
風と共に岩をえぐり、
記憶を風化させていく。
そしてそれは美化されて甦ってしまう。