HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

秋晴物語

昨夜、流れ星を諦めて毛布に包まり、朝方まで本を読んでいた。



案の定、なかなか起き上がれず、気づけば午前も終わりそうな時間。



昼飯にと味噌ラーメンを作って振る舞い(二ヶ所失敗したが)、刻々と時間がなくなっていたことにようやく僕は気が付いた。



手早く着替えを済ませ、サングラスをかけヘルメットをかぶると、慌ただしくエンジンをふかす。



原チャをカッ飛ばし、4号バイパスを抜けていつも通っている横道へ入る。






秋晴れの穏やかな風を切って、アクセルを握る右手も快調だった。



前方を走るミニバンに追いついたその時、ミニバンのハザードランプが点滅し、急に減速した。
横道だったため道幅も狭く、カーブを切っても避けられそうにない。

「おいおい、また入院かよ!」とアタマの中でツっこめる分だけ冷静か。

それともアドレナリンの分泌による、“何もかもスローモーションに見える”っていうアレか。



とりあえず、ハンドルを左にきり、ブレーキを握りしめて車体を横にするようにして、ミニバンの尻に肩から体を預けるようにして停まった。



咄嗟に爪先を動かす。
右足、左足、と筋肉にまで神経が伝達しているのを確かめ、ホッとする。腰への衝撃は避けられたようだ。





運転席のドアが開いて、ドライバーが降りてくる。

原チャのスタンドを立てて、自分の体は足で自立できた事を確認し、ドライバーに向き直る。
今度は怒りの感情からアドレナリンが分泌されている。

なんつー運転すんだよ、こっちゃ急いでんのに。





そして、ドライバーと目があった瞬間、






多分だけどお互いに同じ感情がわいてきただろう。





『あら』
「あらら」





ドライバーは、昔付き合っていた女の子だった。

アドレナリンが引いていくのがわかる。
















続。