HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

巨乳に目がくらみ、アヤマチを犯す

帰り道にふと携帯を見ると、ちょうどメールが入ってきたところだった。


"一緒にサッカー観戦しませんか?連絡お待ちしてます"


つい最近、連絡先を交換したばかりの女の子からだった。しかもスタイルもいい。神はすぐ近くにいるのかもしれない。


"メールありがとう!家で一人で観るしか予定なかったから、喜んで!"


あえて、絵文字は使わない。軽く見られてはいけない。


"○○駅から大通りと反対方向に行った先にあるコンビニわかります?その数メートル先のT字路を曲がったところに住んでるんですけど"


どうやら、家にお呼ばれしているらしい。やはり神はいる。


○○駅まではやや遠いが、幸い地下鉄もまだ走っている時間で、キックオフまでにも充分時間はある。
途中のコンビニに寄り、その子の分も気を効かしたつもりでビールを4本買いこむ。足りなくなるといけないので500mlを。


その行動が裏目に出ちまったと分かるのはほんの数時間後なのだが。


アパートに到着し、チャイムを鳴らす。玄関まで出てきたその子に迎え入れられ、10畳ワンルームに置かれた丸テーブルの脇に腰を下ろす。フローラルな、やや湿ったいい匂いがする。どうやらシャワーはもう済ませてあるらしい。神よ、感謝します。


「飲む?」と差し出したコンビニ袋は、僕の分だけを残して冷蔵庫へしまわれた。


『ごめんなさい、お酒ダメなんです』


完全に無敵状態となっている我が意識は、そんなところまで"カワイイじゃん"と思い込む。同時に、すきっ腹に2リットルのビールを流し込んで、果たして大丈夫か?とも一瞬思ったが、すぐに消えていった。なにしろ、神に味方された無敵状態だ。


キックオフ。終始相手のゴールに攻めこんでいる。試合の流れは順調だ。
その子は酒はダメだと言いつつも、僕の隣にチョコンと座っている。神よ、こちらも順調です。


「仕事って何してるんだっけ?」


『販売系ですよ。駅前の小さなセレクトショップですけどね。』


「明日は休み?」


『はい、今日までセールで一週間休みなしの朝から閉店まで、だったんです。さすがにもうヘトヘト』


"ヘトヘト"という半ば死語をサラリと使ってくるあたりも、僕には高ポイント。"明日は休み"ならば倍率ドン、さらに倍。


CMの度に僕はビールを取りに冷蔵庫へ行き、後半15分にはもう4本ともビールは空になっていた。ふと、左肩に重みを感じる。

彼女の頭がしなだれかかっている。
神よ、これはこちらもキックオフしてよいのですね?


キスしようと、顔を近づけた瞬間、瞬時に彼女の眉間にシワが寄り、ドン!と突き放された。


『キスはやめて!アルコール過敏症なの!』


無敵のスター状態で、いざクッパ城へ!と向かっていた瞬間に効果が切れた。


「最初から言ってくれればビール飲まなかったのに・・・」


ヤル気満々だった、と勘繰られても別にいい。
神よ、パスはありがたいが、その距離じゃオフサイドだ。


テレビではまだ試合は終わっていない。
そう、諦めたらそこで試合終了なんだった。

もらったパスはとりあえずゴール方向へ蹴りまくった。





結局、『キスは絶対にしないで』という条件付きで、性交は成功した。体位もバック限定だった。
神はやはり、ある意味意地が悪い。


『生理的にお酒の臭いももう、限界だから』
と言われ、あれよあれよと言う間に玄関で靴を履かされた。






深夜2時、終電ももう行ってしまっている。
さらに残念な事に、泊まる気満々だったために、手持ちの金もビールへ注ぎ込んでしまっているのでタクシーにも乗れない。
歩いて帰るには2時間以上かかるだろうし、そんな体力もない。なにしろ、食欲も性欲もある意味満たされた今、残っているのは睡眠欲だけだ。無敵状態が長く続いた反動か、意気消沈のスピードが早い。



神よ、これはまた何かの試練でしょうか。
安眠は許されないのでしょうか?


何気なく携帯を開いても、着信も未読メールもあるわけがない。
ニュースをチェックすると、日本が1-0で勝利していた。






この数時間で何がいけなかったのか、どこかで選択肢を間違ってしまったのかを考える。
考えるたびに睡魔が襲ってくる。


もしかしたら人は歩きながらでも寝れるのかもしれない。