HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

Long,Long,Night

長い夜、活字を追って時間を過ごす。換気扇の音だけが聞こえる部屋で。


対話や電話による直接の対話より、活字のみメールだったり文章だったりの耳を通してではなく、視認するのみの言葉は、表現が難しい。
難しいが、手っ取り早いため、身の回りに溢れかえっている。



たとえば、「あ」という発音だけでも、耳から入ってくれば何も説明はいらない。
感情、トーンや振動の長短、高低、大小、シチュエーション、様々な補足情報が周囲にあって、そのとき聞こえる「あ」の意味は一つになる。



これを、補足状態の乏しいメールでの会話だとか、小説の表現だったりとかのなかで表すと大変だ。

まず、発音の大小を表すために、
「あ!」と補足してあげる。
相手にとっては『何か見つけたのかな』or『驚いてるのかな』とかの方向性を持って「あ」と伝わる。

発音の長短を表すために、
「あー」
「あ〜」
「あぁ」
と加えてみる。
先の2つは間延びした感じもするし、2番目は長短の他に高低も少し付与している。
3番目は相槌に捉えられえなくも無い。



この時点で、もはや「あ」ではなく「あ」+αになっていて、当初の観点からは外れているような気もしてきたが、まぁいい。

ひらがなから、カタカナに変えてみよう。

「ア」
やはりこれだけでは、補足情報が無さ過ぎる。これがメールだった場合、なぜ相手がカナ変換してきたのか、という疑問のみが生じる。そこに何かの意図があるのか、それとも親指のミスか。


「ア!」
ひらがなの時より、閃いた感が少しUPしている。


「アァ」
相槌、というよりは、落胆している、という意味に捉えやすい。
相手がこちらの思惑と外れた報告をしてきた時の諦めが混ざったような返事だ。


「アー」
診察を受けている患者の間抜けな顔が浮かぶ。



ひらがなに戻す。

「あ?」
返事としては、相手を恐縮させる。

「あ"?」
それをさらに加速させる。
が、メールの場合、「あ」と打ってから「濁点」を打ち、さらに「?」を打つという手間が含まれているため、とっさの返信にはむかない。しかも、この返事はスピードが肝心だ。
時間が空きに比例して、感情の昂ぶりは薄れて届く。


あまり「あ」以外の五十音は使いたくないが、直接の発音には関わらない、ということで
「あっ」とか「アッ」とかもある。

完全に補足情報が必要になってくる。
『驚き』なのか、『閃き』なのか。



メールではあまり使用されない
(されていたとしても、恐らく公言はされない)、小説や日記の場合にのみ有効なのは、さらに
「ハート」をつけることである。



「あハート」
「アッハート」
などと表現されていれば、それだけでほぼシチュエーションも把握できる。


この補足情報が乏しい表現に、反応し、妄想し、空想し、期待する。このスピードと情熱は光速を超える。







脱線しまくったが、本線にもどろう。
「あ」の一文字だけをとってもいろいろと大変なのであれば、日常的に交わしている対話を、そのまま文章へと変換し、自分が発信したとおりに相手に伝えるのはなんと困難なことかと思う。
表情も感情も伝わりづらくて不便ではある。

が、他人の文章を読むのはとても好きだし、会話が不可能な状況でもある程度自分を伝える事ができるという利点もあるので、メールや日記も活用させてもらっている。














2日目の夜を越えた。「焼け石に水」とはわかっていても。