HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

がんばれマコト君

帰りの地下鉄を待つホームで、こんな会話が聞こえてきた。
断っておくが、聞き耳を立てていたワケではない。
視覚と味覚は自分でコントロールできるが、聴覚と嗅覚は耳を塞いだり鼻をつまんでいない限り自然に情報を集めてしまうものなのでしょうがない。





話の主役となる若い女のコがものすごくアニメ声だったので、彼女をA、友人たちをそれぞれB、Cとする。
実名だが、顔を見たわけではないし、特に伏せる理由もなさそうなのでマコト君はそのままにする。





A「飲みすぎたね〜」

B、C『飲みすぎたっていうより食いすぎた〜』

A「わたしも〜」

着信
A→マコト「もしもし、うん、もういいんだ。親が迎えに来てくれる事になったから。ん?いや、大丈夫だよ。ウチさ〜”誰かに送ってもらった”っていうと心配するんだよね〜〜 カタいんだよ。

うん、
うん、

わかった。
じゃ、折り返すね」

(親を含め、何軒か帰りの足をさがしていたらしい)

A「こいつマジ使える。しかも安全。マコトっていうんだけどさー。もう一人の方はヤバいんだけどさ〜」

B『やったじゃん。アッシーアッシー』

A→親「もしもし?いまどこ?あのね、チホコが迎えに来てくれる事になったから、いいや。うん?女の子。最近免許とったの。うん、じゃあ、まっすぐウチ帰るから、うん、じゃあね。」

A→マコト「もしもし?親大丈夫だった。今どこ?長町南まで来れる?わかんない?MALLのとこだよ?え?じゃあ286出れる?国道286号線。パチンコのTIGERとかわかんない?え?若林区?六丁の目ってどこだっけ?地下鉄どこならわかるの?仙台ね。どの辺にいればいい?アエル?ヴィヴィ?E-beanね。わかった。今ね〜広瀬通。仙台の隣。10分くらいかなー。下のトコでいいんだよね?は〜い」

A「やべ〜、アタシ仙台から自分ちまでわかんないかも」

(大丈夫か?運転手もこの子も、地理知らなさすぎじゃないか。マコト君は何を考えて迎えに来るのだろう)

そして彼女たちは地下鉄へと乗り込んだ。
その後も気になったが、なんとなく全てがうざったく感じてしまったため、違う車両を選んで移動した。







ほんの僅かな可能性でもあれば、動いてしまうのが男の悲しい性というもの。たとえその日に何も無くても、勝手に積み重ねを期待してしまっているものなのだ。


もしも、マコト君が知り合いであったならば、
「もしもし?マコト?今からさ〜、おまえ女の子迎えに行くっしょ?え?いや、おまえナメられてるよ。相手は全然脈ナシだね。つーかほぼマイナス。じゃあな、入れ込むのも程々にしとけよ」
なんて即座に電話しているところだが、あいにくオレはマコト君の知り合いでもなんでもない。

マコト君、羊のままでいるか狼になるかは君次第だ。同じ男として、陰ながら応援はしていよう。

法定速度を守ってチンタラ走っていると、後ろからクラクションを鳴らされる。
かといって、法定速度をオーバーすれば、警察がファンファン鳴らしてやってくる。
そんな矛盾だらけの狂った世界に君ら若者は育っている。














人それぞれに、それぞれの願いがあり、それぞれの思惑があり、それぞれの予定があり、それぞれの企みがあり、それぞれの想いがあり、それぞれの感情があり、それぞれの諦めがあり、それぞれの今日が終わり、それぞれの明日がやってくる。
そんな"それぞれ"がピッタリ合致することなんてもはや天文学的な確率だろう。
だからこそ、出逢いはキセキ、と呼ばれるのだ。