医者に病気で余命いくばくもないことを伝えられた。が、なんかの診断待ちらしく自分以外にはまだ公表できないようだ。
それでも僕は色々な所へ出かけた。友達とつるんで街を徘徊したり、気の置けない相手とどこかの展示館へ行った。
気は紛れるが、時おり襲う眩暈や息切れが、自分の旅の終着を悟らせる。
このままこと切れるくらいなら、いっそ大々的にベッドの上で愛する人々に見守られながらの方がどんなにいいか。
なぜ自分だけが、誰にも打ち明けられずに気を揉まねばならぬのだ。残り少ない余命をせめて有意義に使わせてくれ。
また眩暈で視界が揺らぎ、手すりにもたれて息を整える。
陽射しは暖かく、世界は全体的に白味がかかっている。光がまばゆい。
また息を整えようとして、目が覚めた。