二匹繋がって飛んでいるトンボ。
前にいるのがオスで、そのシッポに首をガシッと捕まれた状態で後ろにいるのがメス。
彼らは交尾中。
なんともまあ、アクロバティックなセックスだ。
地面に近づいてきたかと思いきや、水たまりの水面にメスがシッポをチョン、チョン、と。
これは産卵。
ああ、そこは池や沼じゃあない、昨日の台風でできた水たまりだよ。明日を待たずに干上がっちまうぜ。
忠告もむなしく、彼らは飛んで行ってしまった。
台風といえば、なぜかワクワクしてしまう自分がいる。
台風に限らず、ゲリラ豪雨、特に稲光や雷のゴロゴロでテンションが上がる。
何故かは知らない。
もしかしたら、「生命に危険が及ぶのを察知すると、生物は自分の種を残そうと行動をする」に思考が近づくのだろう。
不謹慎かもしれないが。
昨夜は十五夜だったらしい。
台風の目の雨雲の隙間に、満月が見えたりしたらステキだろうな、と考えていた。
が、フトンから起きてカーテンを開け空を仰ぐことはしない。
みすみす満月を見逃してしまった。
台風一過のバラバラになった雲の中を泳ぐ十六夜の月も乙なもんだ、そう自分に言い聞かせる。
そんな十月の始まり。