意識して、捨てる。
“独占欲”だとか
“これがあるから自分は生きていられる”とか
“所有権”とか
男にありがちな“支配欲”とか。
全部、元から自分には何も無かったと考えてみる。
考えるだけじゃなく、そう言い聞かせて刷り込む。
家族も、
恋人も、
部活やサークルとかの社会的な立場も、
“蛇口をひねれば水が出る”っていう事さえも。
すると、何も失わなくて済む。
元から自分のモノではなかったのだから。
“自分のモノだ”と固執したりすがったりしていた全てから解放された時、諦めに似た達成感が沸き出てくる。
もう何にも失望したり落胆したりしなくていい。
背中に背負うものもない。
何も持ち合わせていなければ、それは“プラス”ではないが、
“何も失わない”のならそれは“マイナス”にもならない。
何もない。
ゼロだ。
そういった考えに至ったとき、“目から鱗が落ちた”と同時になんだかフッと軽くなり、
自分自身の価値も軽くなった。
何もない。
失うもなにも始めから何もない。
平らで穏やかな、平和な何もない地面だ。
360°どこへ向かっても構わない。
ただの逃避。