〜飛んで火に入る夏の虫〜
「オレよぉ、群れるの大っ嫌いだからよ」って言って彼は颯爽と単車にまたがり、
ワインディングロードへあっという間に消えて行ってしまった。
そんな友人の事を思い出しながら、じっと部屋の中にいる。
"節電"のために、というのは最早流行り文句で、ただの全国一斉我慢大会に他ならないのではないか、と考えている。
おもむろにリモコンを手に取り、エアコンの電源を入れる。
す・ず・し・い。
室外機の上にある誘蛾灯に、虫が当たってバチッと音がした。
〜飛んだビニール奴ら無視〜
「オレよぉ、蒸れるの大っ嫌いだからよ」って言って彼はヘルメットを脱ぎ去り、
隠れていた鼠捕りにあっという間にキップを切られてしまった。
そんな友人の事を思い出しながら、川沿いの遊歩道を歩く。
"節電"は電力を節約するのではなく、電気代を安くするのだから結果として自分も得するんだ、と考えるようにする。
交差点では捨てられたスーパーのレジ袋が風に舞っている。
せ・つ・な・い。
また強く風がビュゥッと吹き、袋はバサッと電柱にぶつかる。