入院日記5
昨日から、歩行リハビリが始まった。リハビリステーションにて。略してリハステ。バンドのリハスタみたいだ。
平行棒につかまりながらの約15分、まるでスケート靴を履いた初心者がリンクのはじっこにいるようなスピードで歩く。
そして歩行器につかまって部屋を一周。ちょいちょい間に休憩はさみながらここまで約30分。
ふくらはぎは既に悲鳴を上げたがっている。
その後は足首に2kgの重りをつけて太ももの筋トレ、で終了。
毎日14時半〜約1時間はリハステ。
産まれたての子鹿のように、うまく立つことすらできないのでは?と危惧していたが、思ってたより歩けるもんだ。
777号室(無論7階)とリハステ(1階)をエレベーターで行き来する。行きは看護師が付き添ったけど、帰りは自分で帰ってきていい、と言われる。
=移動許可範囲の拡張
=1Fまで自由ならば、そのまま玄関に出れる
=病院敷地外に、ちょっと出てみてもいいんじゃないだろうか
という訳でリハステを出た後は、エレベーターに乗らずに外へ。
『シャバの空気はうめ〜なぁ〜』とは、さすがに口にしない。何故なら一人だから。
そのまま歩道まで出て、念のため車椅子に結わえて持ち歩いていた巾着からセブンスターを取り出し、火を点ける。
旨い。
初めて吸ったときのように、新鮮。
かと言ってむせたりはしない。
多少、脈拍が上がった気もするが、コルセットをきつく締めているせいにする。
夜が更けるにつれ、身体中のあちこちからギシギシ、ビリビリと聞こえてくる。
寝れば回復するだろう。
今朝。
身体中が痛くて眼が覚める。
ごく一般的には、一日死ぬ間際までモンスターと死闘を繰り広げても、宿に一泊すれば体力精神力ともにMAXまで回復するんだが、それはやはりRPGの中だけらしい。
現実世界はそうもいかない。
既に今日のリハステが憂鬱。それ以前にトイレに立つのも躊躇われる。
頑張ってる人に、「オレもがんばるから、一緒にがんばろうぜ」なんては全く言う気もないし言ってないのだが、頑張ってないヤツがいたのでそんなセリフを言った。
藪蛇だったかと思いつつ、口約を破っては示しがつかないので弱音は吐いてられない。