HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

五月病の処方箋

ま、今日から6月なのであるが。


医者は言う、「患者さんにとって、五月病とは?」
曖昧な質問に僕は答える、「心の浮き沈みが激しかったり、何もやる気が起きないことが続いたり、って感じですかねぇ」


事実、休肝日を作ろうと思った矢先も、減らそうと(止めようと)思っているタバコにも、まだ頼っている部分がある。


言い訳を考えているヒマがあったら、まずは行動しろ。
それはわかっている。わかっているんだよなぁ。


医者は言う、「あなたが、この病院に来た事、それこそが既に病気を克服しようとしている第一歩です。罹りっぱなしの悪い状態なら、ここに来ようとは思わないでしょう。」
僕は言う、「では、ほぼ治ったも同然ですか?」

医者は片眉をあげて言う、「前向きな発言です。いい傾向ですよ〜。ただ、このまんまじゃ病院を訪れただけで、それ以外の事はまだ何も変わっちゃいないでしょう。とりあえず、今気にかかっている事、やりたい事を3つ、このメモに書いてみてください。あまり悩まずにね。」
僕はメモを受け取り、ボールペンで3つ、箇条書きを作る。

医者はメモをみながら言う、「それでは、受付でお待ち下さい」


受付で会計を済まし、会社に提出する診断書と領収書、薬局に出す処方箋を受け取る。

診断書と領収書はカバンにしまい、数十メートル離れた薬局へ歩きながら今日の昼飯はなんにしようか考える。


薬局について、保険証と処方箋を渡す。
しばらくして(普通の眼科とか内科とかのときよりは時間がかかった)、名前を呼ばれる。

レジ?というか受付というかには、どう見ても薬の類とは違うものが置かれている。
バスの回数券、バイクのキー、6缶パックのラガービール、コンドーム、とある映画のDVD数枚、どれも見たかったが新作期間が終わってからにしようと延ばし延ばしにしていたヤツだ。
「これは?」

薬剤師は言う、「あなたの処方箋に基づいて、こちらでご用意させていただきました。」

処方箋が広げられる。

それは、さっき僕が書いたメモだ。

"?休日ののどかな時間を満喫する"
「バイクのキーです。表に停めてありますので、どちらまででもお乗り下さい。青空と新緑に囲まれながらのビールもどうぞ。帰りにはバスのチケットをお使い下さい」
"?時間に追われることなく映画がみたい"
「映画は、上映時間や館内ルールが様々で、恐らくお気に召す条件は叶わないかと思いまして、DVDをご用意致しました」
"?恋人に会いに行く"
「先ほどのバスのチケットを使ってください。ご住所までは存じておりませんので、市内でしたらカバーできるかと思います。さすがに現金をお渡しするわけには行きませんが、ご了承下さい。そして、こちらは状況によってお使い下さい」
そう言って薬剤師はコンドームを薄茶色の紙袋に入れて渡した。


「さぁ、今日という日は限られています。夕方には気温が下がってくる予報ですから、今のうちにお出かけ下さい」




薬局を出て、空を仰ぐ。
確かに、いい日和だと思う。

バイク(これは残念ながら原チャだった)にまたがり、アクセルをふかす。
行き先は、あの娘の家。

突然の来訪に驚かれて、戸惑われるかもしれない。もしかしたらもう予定があって出かけなくちゃって所かもしれない。
が、そんなことを気にかけてクヨクヨとかウジウジしてるのはもうイヤだ。


太陽の下のビールも、寝そべって見る映画も、僕一人よりは彼女と一緒がいい。