HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

よく晴れた4月の風が強い昼下がり

僕は北へ向かうバスへ乗った。


川を渡る橋にさしかかり、川面で魚が飛び跳ねたように見えた。


川沿いに一本だけ堂々とした木があって、そのすぐ近くに小さい灰色の鳥居が隠れるようにあった。


多分、水神が崇められているんだろうな。


そのご神木であろう堂々とした木と、その鳥居が建てられた時代に思いを馳せてみたが、一瞬でやめた。


地下鉄へ乗り継ぎ、思い立って違う駅で降りた。


僕は覚えたての煙草に火をつけ、ちいさな堀沿いを歩いた。


気温は高かったけれど、強い風のせいで体感温度はちょっと低い。


煙草を根元まで吸い終わると、近くにあった灰皿へねじこんだ。


風が強くなければ、時間はもっとゆっくり流れていたかもしれない。


急ぎ早に人々が僕を追い越していく。


コートのポケットから手を出して、最近丸まり気味だった背中を、姿勢に注意しながら歩く。


「世の中は僕のために回っている」


そんなふうに感じた瞬間、心臓に亀裂が入ったような痛みがやってきて、僕はその場にうずくまる。