「昨日の雨のおかげで、春っぽくなってきたな。空気に湿度が混ざってる」
『マフラーを巻いてるのは俺くらいだな。しかし、春物のコートというのがないんだ。どうしたもんか』
「昨夜は酒を飲まなかったんだ。だが朝起きた時の身体のダルさはあまり変わらないな」
『それは年ってもんさ。珍しいな、お前でも飲まない日があるんだな。肝臓気遣い始めたか?』
「いや、その前の晩に家にある酒を空にしてしまってな。ついでにいうと、雨のせいで買いに行く気も失せたからさ」
『出不精の方が勝ったわけか』
「そのせいなのか、今は純粋にアルコールを楽しみたい気分だ。こんなに晴れた日に、ただ歩いているだけじゃつまらんしさ」
『よし、それなら酒を買いに行こう。現実・10月の寂しい日々に鍵となる言葉は灰皿だ。』
「Verchal、
October-
Days、
Keyword、
Ashtray。
ウォッカだな。アルコールを楽しむには持って来いだ。ただし、スミノフというあからさまにロシアっぽいネーミングなのに原産アメリカってのは解せないが」
『お前の好きな煙草もSevenStarというアメリカ的なネーミングだが、二本の煙草だ。許してやれ』
「よし、今日までの日々と、ごちゃ混ぜの国際交流とに乾杯だな」
『飲もうぜ、その辺の公園でもいいさ』