HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

時よ止まれ、君は美しい

「君はもう呑まない方がいいんじゃないかね」
『そうですかねー』
「昨夜の失態を憶えてないわけはないだろう?」
『愛想をつかされても仕方のないことです』
「あげく、タクシーに電話を忘れ、帰り道で嘔吐」
『無くさないようにずっと持ってたら、支払いの時にちょっとポケットに入れたつもりだったんですがね』
「そもそも、酒を受け付けない事に薄々気付いているだろうに」
『口と、喉は依然欲しがってます』
「そこから下部はそうじゃないだろう。沈黙の臓器が沈黙を破るぞ」
『それはマズいですね』
「わかっていて、なぜまた繰り返す?いい加減に過去の自分から教訓を得たまえ」
『はい。意識的には避けているんですが、どうも目の前に出されてしますと...飲んでしまうんですよねぇ、断るのも悪い気がしますし、何より善意ですから。それでつい、お替りしちゃったり。その瞬間はとても美味いんです』
「兎に角、酔いがまわり始めた君は意識が半分トンでいる。会話もままならないくらいだ。その状況で何かが好転するとでも思っているのか?むしろ全ては悪循環を辿る一方だ」
『・・・』
「ぐうの音も出まい。いっそタイムマシンに乗せて昨夜の自分自身を俯瞰させたい」
『・・・』
「何も言うことはないのか?」
『あなたの心遣いに感謝の意を込めて、乾杯』